古びた米松のカウンターの上に置かれた琥珀色の液体。
グラスは凍結している。
煮タマゴの口取りでその液体を呑み乾すと俺の中で独自のワールドが展開される。
人生の半分を終え、愚痴の多くなった自分の話は暗くて長い。
「やはり、自粛しとけば良かった・・・」
脳裏には今後の経済状況が浮かんでは消える。
常連の「マンガ読みマン」の一つ隣の席で、オレは今後の日本のありかたと過去の自分を振り返り「何のために生きるのか」という最大の課題に立ち向かっていた。
そこに現れた「石原先輩」に、オレは気づかされる。
「大将、御無沙汰しておりやす。サムギョプサルください」
一度は死んだ命。
たった一日で焼肉屋のチーフに登りつめた彼は、分厚い財布を手にこういった。
「食べて下さい。うまいですよ」と。
オレとぬまさんは先を争って久しぶりの肉にむしゃぶりついた。
肉を平らげたオレはわれに返った。
「何かおかしい・・・」
疑惑は確信へと変わってゆく。
先輩はオレぬまコンビ、通称「ちょっと危ないバカ」の前で金言した。
「ちかちゃん、全部オレで・・・」 なにごとも無かったかのようにゲーマンをだす。
オレは覚悟した。
とられてはいけない臓器、つまり(一つしかないもの)だけは勘弁してくれと。
「赤鬼」は自転車で逃げようとする俺を押し倒し、怪しいバンの中に連れ込んだ。
「次、いきましょう!」
クルマはネオン街に向かって走りだした。
こうなると隙をついて逃げ出すしかない。
オレはチャンスをうかがった。
やがて1軒のバーの前でクルマから降ろされた。
先に入っていく「赤鬼」
店の中からは「ああ~っ!先輩!!久しぶりじゃないっすか~!!まぁ、座って座って!!」
どうやら赤鬼先輩の知り合いの店らしい。
「チャンスだ」と思い、自転車をがちゃがちゃやっていると・・・
「おい、逃げるなよ」と強引に店内に連れ込まれた。
中にはイカレタ店主と客のカップルが。
1階はカウンター席しかなく、2階にはどうやら座敷があるようだ。
店長の横には「ちょっと年配のおかみさん」がたたずんでいる。
もとは「びじん」であったろう、その女性はおもむろにボクに近づいてきた。
「く、喰われる」 そう思った瞬間、彼女は赤鬼先輩にこう告げた。
「ワタシも呑んでいい?」
赤「ああ、どうぞ、どうぞ!」
どうやら、彼女は、この辺を牛耳る患部のようだ。
ここでは仮に「けいこ」とよんでおこう。
けいこの援護射撃をするべく、店長は頼んでもいない料理を「サービスです」といってはじゃんじゃん出してくる。
危ない。 じつに危ない。
このパターンで何回地獄を見たか。
赤鬼先輩はこう続けた。
「あれ?SYKは?」
SYKとわ、おそらく赤鬼のなじみのナオンだろう。
オレはとんでもないところにつれてこられたということに改めて思い知らされた。
「赤鬼パイセン、日曜日やすみだもんで遊んでくださいよ~」とカウンター越しにアピる店長に「あ”あ”っ!仕事だわ!! テメーが店コイや!」と恐ろしい会話が弾む。
「何か食べます?」との問いに「おう、得意のティッシュ焼いたヤツくれや」ともはや暗号のような実弾が飛び交う。
オレは完全にラチられ、こうけしかけられた。
「次は何やってくれるだぁ、 おりゃ~、ポロロッカに乗りてぇだわ。おっさん、一緒にいってくれるだろうな~」と。
躊躇するオレにさらにこう続けた。
「ただ乗るだけじゃタリーで、手首とか斬ってのるめえ。こけたらピラニアかワニのえさになるだけじゃ」と。
もはやコレまで。
もじもじしていると赤鬼パイセンは「じゃぁ、どっか他にあるのか」と聞いてくる。
そこで「絶対いけそうもないところ」を選んだ。
「うん、 え、 エベレストに登ってみたい」
そう告げると
「おい!! おあいそ」
つぇーマンをぶん投げると赤鬼はオレを送り新居の「三ノ輪の家」に帰っていった。
オレは奇跡的に生還することが出来た。
あそこラへんの同級生チームはヤハリ怖い。
赤鬼、みちばた、たろう、大丸、ボルコムなど34歳?付近のオヤヂどもには今後共気おつけていくべきだろう。
ま、なにしろ「ごちそうさまでした」 赤鬼パイセン。
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